浮世絵=江戸の風俗を描いた江戸時代の木版画、というイメージだったので
恥ずかしながら、大正新版画…? って感じだった。 説明によると、「近代化によって衰退してしまった木版技術の復興を目指して、 江戸時代の浮世絵版画と同じ技法によって制作された、大正から昭和初期に興隆した木版画」とある。 ![]() 江戸期の作品をリスペクトし影響されながらも、浮世絵には見られないような色合わせだったり、モダンな美人画だったり、やはり大正の匂いがする。 外国の方が日本の情景を描いた作品も多く展示されていたが、逆に欧風チックな味付けをした日本人の作品があったりして面白い。 画家、彫師、摺師の連係プレーがすべて上手く行って初めて作品として世に出るのだが、その前段階の試し刷りを見せている作品もあり、バックの色に迷った様子や ばれんの勢いの違いなど、試行錯誤の跡が見られて興味深い。 ポスター1万部(!)という依頼を受け、「9版刷り→刷り上がりをポスター台紙に貼る、を全部手作業でやって大忙しだった」というエピソードが紹介されていたけど、オイオイ、それは大忙しの範疇を超えてないですか?(^_^; それだけ新版画の素晴らしさを世に知らしめたかったということだろうけど、 何とかしちゃうエネルギーと言うか、情熱というか、とにかくスゴい。 どんな分野にしろ、すでに確立されたところから伝統を継承していくだけではなく、 新たな試みで流れを作っていくのはパワーのいることで、 人並みはずれた情熱と牽引力を持った何人かが引っ張って行くものだと思う。 そういう意気込みを持った人達が灯をともした大正新版画は、 その人達の人生の終わりとともに終焉に向かってしまったようだ。 ■
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by sakurako_h
| 2009-11-04 16:18
| 芸術のススメ
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